お知らせ

【論文】宮脇正次 先生、細井達矢 先生、矢可部満隆先生らの「経口栄養補助食品と医療費の関連」に関する論文がAcceptされました。

経口栄養補助食品(Oral Nutritional Supplements: ONS)は、低栄養患者に対する簡便で低コストの介入と考えられています。

本研究では、入院歴のある高齢者において、退院時にONSを処方することが、その後の医療費にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としました。埼玉県国民健康保険データベース(KDB)を用いて、2017〜2022年度に退院した75歳以上の52万6605人を対象とし、退院時にONSが処方された群と処方されなかった群を傾向スコアマッチングで比較しました。

その結果、全体としては、退院後360日間の医療費はONS処方群で高く、再入院率や再入院時の在院日数も長いことが示されました。一方で、退院後にONSが処方されていた方に限ると、医療費は退院時から処方されていた群で低くなりました。

これらの結果から、超高齢者を多く含む実臨床においては、「退院時に一度ONSを処方するだけ」では医療費削減や予後改善には十分につながらない可能性が示唆されましたが、退院後も一定期間継続してONSを利用できていた高齢者では、長期的な医療費抑制に寄与しうることが示されました。

本研究は、超高齢社会における退院後の栄養介入の在り方、とくに栄養サポートの「タイミング」と「継続性」の重要性を示すエビデンスであり、その成果は Geriatrics & Gerontology International 誌に掲載予定です。

 

Miyawaki M, Hosoi T, Yunoki M, Hashimoto S, Kase Y, Ishii M, Yakabe M, Ogawa S. Impact of oral nutritional supplementation at hospital discharge on healthcare costs in older adults: A retrospective analysis of Japanese claims data. Geriatrics & Gerontology International. (in press).

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