【論文】柴崎孝二先生らの論文がGeriatrics & Gerontology Internationalに受理されました。
高齢者の大腿骨骨折や脊椎圧迫骨折に伴う主な合併症として、肺炎や誤嚥性肺炎が挙げられます。肺炎発症は、入院の長期化や死亡率の上昇と関連するため、その予防は重要な課題です。
これまでも肺炎や誤嚥性肺炎のリスクを予測するツールは存在していたものの、骨折患者さんを対象とした簡易的なツールはありませんでした。本研究では、骨折や整形外科手術を受けられた方を対象に、肺炎・窒息・総死亡について平均2年間(最大8.8年間)追跡調査を行い、簡便に使用できるスクリーニングツールを開発しました。
研究の結果、肺炎発症および嚥下障害関連死亡(肺炎と窒息による死亡の合計)を予測する因子として、男性であること、低Body mass index(BMI)、低身体機能、認知症であること、低カロリー摂取であること、食事形態の制限(常食と比較し、お粥食やミキサー食など)、低アルブミン血症が抽出されました。
本研究ではこれらの因子のうち、器具や検査を必要としない「性別」「カロリー摂取」「食事形態」の3項目に着目し、骨折、整形外科的手術後における簡易的な嚥下障害スコアリングシステムを以下の通り構築しました。
- 性別: 男性(1点)
- 摂取カロリー: 1日800 kcal未満(1点)
- 食事形態: 主食がお粥・副菜が刻み食(1点)/ 主食・副菜がミキサー食・経管栄養・絶食(2点)
上記項目の合計4点満点で評価したところ、スコア0点群と比較して、1点・2点・3~4点群における、肺炎死亡リスクはそれぞれ約3倍、8〜9倍、50倍、嚥下障害関連死亡リスクはそれぞれ約3倍、7倍、40倍であることが明らかになりました。
本研究成果の活用により、骨折や整形外科手術を受けられた方の肺炎・嚥下障害リスクを早期に評価・介入することが可能となります。これにより、入院期間の短縮や医療費の抑制、ならびに死亡率の改善に貢献できると期待されます。
Koji Shibasaki, Mari Suzuki, Yuriko Tajima, Akiko Ajima, Miki Marubayashi, Risa Iwama, Minami Kogo, Tsukushi Murota, Chisato Ura, Toshiomi Asahi, Sumito Ogawa. Developing and Validating a Simple Scoring System for Dysphagia After Fragility Fracture or Orthopedic Surgery in Older Adults. 04 August 2026 https://doi.org/10.1111/ggi.70741